消えた新聞(いちご小6・みるく小4)

小学校で代表委員会主催の震災募金が行われる。
みるくは代表委員なので当然その手伝いをするわけだが。
「震災の新聞記事を読んで簡単なレポートを書かないといけない」らしい。
それはつまり募金をしていただく皆さんへの意識づけのためにということかな?
みるくがそのレポートにつけたタイトルは「ジグゾーパズルみたいな日本」。
それはばらばらだった47都道府県がひとつになって震災復興をめざしていこう、という意味なのかな?
それとも逆に震災でばらばらになっちゃったってこと?
「両方だね」とみるくは言う。
「ママ、震災の時の新聞とってある?」とみるくが聞くので保存しておいた震災翌日の新聞を渡す。
今改めて見ても衝撃的な新聞だ。
みるくはビニールファイルに新聞とレポートを入れ、それを食卓の上に置いたまま登校。
あーあ。
ついさっきまでその話をしていたはずなのにどうして忘れていくかなあ。
しかたがないので、いちごにファイルを渡しみるくに届けてほしいと依頼。
いちごはブツブツ言いつつもファイルを手に登校。
したのだが。
みるくの教室ではすでに朝の会がはじまっていたため、
いちごはちょっと悩んだ末に廊下にかけてあるみるくのバッグの下(つまり床の上)にファイルを置いた。
そしてそのままみるくに一言も告げることなくいちごは自分の教室へ。
次の休み時間にでもみるくにファイルのことを伝えに行けばよかったのにいちごはその日みるくの教室へ足をのばすことはなかった。
当然みるくはファイルのことを全く知らないまま。
結局ファイルは発見され、みるくの元に届いたことは届いたのだが、中に入っていたのはレポートのみ。
新聞がなくなってしまったとあせったみるくは先生や友達にお願いして教室やその周りを捜索。
みんなで探すも新聞は見つからない。
帰りの会のあとも残った友達が一緒に探してくれたが結局新聞は見つからなかった。
ちゃんと(新聞を)持って帰ってきてねと私に言われていたみるくは意気消沈したまま帰宅。
新聞がなくなってしまったことと、探していて帰りが遅くなったことを説明するみるく。
それを聞いていたいちごが「新聞ならここにあるよ」とランドセルの中から新聞をとりだした。
え?なんでいちごが持ってるの?
「みるくがなくしたら困ると思ったから抜いておいた」といちご。
なぜ一言みるくに知らせないのだ。
黙ってファイルを廊下に置いてきたことといい、勝手に新聞を抜き取ったことといい、やり方がまずすぎる。
なくしたと思って必死に探し回ったみるくと、手伝ってくれた先生や友達に対して申し訳ない。
いろんな人に迷惑をかけたんだから、明日みるくと一緒に登校して先生とクラスメートに謝っていらっしゃい。
いちごは「忘れたみるくが悪い。みるくのせいで怒られることになった。みるくが悪いんだ。」と涙目。
確かに忘れ物をしたみるくは悪いけど、みるくに何も言わずに新聞を抜き取ったいちごも悪いでしょ。
いちごが一言みるくに伝えればこんなことにならなかったんだから。
伝えるって大事だよ。
「わかった。解決策を見つけた。もう二度とみるくの忘れ物は届けない。」といちごは言う。
なるほど。一理ある。