蜜蜂と遠雷(いちご17歳3ヶ月・みるく15歳4ヶ月)

学校から帰るなりみるくが「朗報があります」と言う。
なになに?と聞くと黙って手渡してくれたのが恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」。
ハリーポッターと呪いの子」に続き学校の図書室で借りてきてくれたのだ。
図書館ではまだまだ予約の順番がまわってきそうにないこの二冊をさくっと借りられるとは。
ありがとう、学校図書室、ありがとう、みるく。
ハリーポッターおもしろかったよ」とみるくが言う。
いつのまに読んだのか、受験生よ。
借りてきてもらっている立場なので何も言うまい。
というわけで二冊まとめて一気読み。
ハリーポッターの新作は戯曲なのですぐに読み終わるし、蜜蜂と遠雷はおもしろいのでページをめくる手がとまらない。
恩田陸さんの作品は好きなお話が多く、注目してきた作家さんなので今回直木賞を受賞したことが一読者としてとても嬉しい。
蜜蜂と遠雷はピアノコンクールを舞台にした青春群像小説。
読み終わった瞬間最初に戻って再読した作品は久しぶりだ。
長さを全く感じさせない。
二回目は曲をかけながら読んだ。
メンデルスゾーンの春の歌をかけている時にいちごが「このぶわっぶわっが好き」とつぶやいた。
曲が終わったあとでみるくが口笛で春の歌をリピートしだし、いちごが「ふぁっふぁっ」と合いの手を入れていたのがほほえましかった。
リストの小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコをかけていた時だろうか。
「曲のタイトルを聞いて曲を聴くと、あーなるほどねってわかるのがすごいよね」といちごが言った。
ラヴェルの水の戯れをかけている時にみるくも同じようなことを言っていた。
音楽っていいなと思う。
音楽を文章で描く可能性を感じる作品だった。
みるくよ、借りてきてくれてありがとう。