デリー→アグラ→バラナシ

旅行記なので長いです。興味がない方は適当に読みとばして下さい。>

ホテルを5時半に出発して駅へ向かう。
渋滞がひどくて車が動かないので途中で車を降りて駅まで歩く。
道はでこぼこしていて、ほこりっぽく、ゴミだらけ。
道路脇で用を足している人も多く、ところどころ異臭がする。
車がすきまなくうめつくしている道を横切り駅の中へ。
駅構内にはなぜか横になって眠っている人が多数。
6:15デリー発8:12アグラ着予定の列車に乗る。
始発なのでさほど時間に狂いはなかった。
車内は驚愕するほど冷房がきいていてとてつもなく寒い。
コートを着てもまだ冷蔵庫の中にいる気分だ。
冬山へ行くのか?というほど着込んでいるアジア人がいれば、ノースリーブの白人女性もいる。
体感温度は人それぞれ。
私は凍えそうになりながら苦行のような2時間を耐えた。
朝食はホテルに用意してもらったお弁当。
中身は微妙な味のチーズサンドとおいしくはないお菓子。
いちごみるくは「このチーズからい。ドーナツも微妙。食べられるものがない・・・」という。
食べられるものだけ食べなされ。
そんな話をしていたら車内スタッフが次から次へといろいろなものを配り始めた。
まずミネラルウォーターのペットボトル
次に雑誌
そしてティーセット(クッキー、タフィー、ティーバッグとポット)
温かい紅茶で暖をとりたいところだが、お湯の安全性が信頼できないので飲めない。
さらに朝食も出てきた。
メニューはベジカツレツ、パン2枚、ミックスジャム、りんごジュース。
パパとみるくはカレー味のベジカツレツをおいしいと言うが、いちごと私はパス。
どれだけ出てくるのだろうと思っていたら、最後にはチップを入れる皿がまわってきた。
列車の窓にはところどころ銃弾でも受けたようなあととひび割れが。
車窓には線路沿いで用を足す人々の姿。
まるでお尻博覧会である。
なぜインドではわざわざ列車から丸見えの線路沿いで大勢の人がトイレをするのか。
なぞだ。

そんなこんなでアグラに到着。
まずは世界遺産タージマハールを見に行くわけだがその前にとあるお店に立ち寄る。
インドの衣装を貸してくれるお店だ。
せっかくなのでサリーやパンジャビに着替えてタージマハールへ。
白亜の大理石でつくられた霊廟は30年前の記憶とたがわず美しい。
塔も建物も、埋め込まれた色とりどりの貴石も、彫刻も、全てが完璧なシンメトリーで素晴らしいの一言。
アーチに黒大理石で刻まれたコーランの文字は下から上へ向かって大きくなっており、
すべての文字が同じ大きさに見えるよう工夫されている。
ベンチに腰掛けてしばしタージマハールを眺めて過ごす。
タージマハールは移りゆく空の色を反射してさまざまな表情を見せるという。
愛する妻のためにムガル帝国第五代皇帝シャー・ジャハーンが22年の歳月を費やして造った世界で一番美しいお墓。
満月の下で月明かりに照らされたタージマハールを見てみたいものだ。

昼食はレストランにてマハラジャターリー。
ターリーというのは北インドの定食で、マハラジャターリーはその豪華版。
一人分の品数が18種類と大変多く、さすがに食べきれなかった。
残念。

昼食後は世界遺産アグラ城へ。
ムガール帝国全盛期、第三代皇帝アクバルによって建てられたこの歴代皇帝の居城は赤砂岩の城壁に守られている。
城というより要塞だ。
城内には王族の住居や謁見の間、モスクなどが建てられ、どれも個性的。
シャー・ジャハーンの愛妃ムムタズ・マハールの居室や謁見の間は白大理石でつくられ
タージマハールと同じように貴石の装飾が埋め込まれている。
アクバルがつくった部分は赤砂岩、シャー・ジャハーンが指示した部分は白大理石、となっているようだ。
城からはヤムナー河とタージマハールが見渡せる。
息子によって塔に幽閉されたシャー・ジャハーンは愛妃の墓を眺めながら晩年を過ごしたのだろう。

アグラ城の次に見たのは世界遺産ファテープル・シークリー。
アグラ中心部の南西37kmにあるアクバル帝の城跡。
水不足が原因でわずか14年で捨てられた都だ。
アクバル帝にはヒンドゥー教徒イスラム教徒・キリスト教徒の妻がいたので、
中庭を囲むように3人の部屋がそれぞれの様式で建っている。
図書館、学校、プールなどもある。
私がおもしろいと思ったのは中庭に刻まれたマス目。
皇帝が人間を駒に見立て、それを上から眺めて楽しんだという巨大なボードゲーム盤なのだ。
みるくにボード上に立ってみてもらったが、とにかく暑い。
この暑さで水不足なら確かに引っ越さずにはいられないだろう。
帽子を持ってくるのを忘れたといういちごみるくのために土産物屋で麦わら(?)帽子を2つ購入。
日傘をさしている観光客もいて、賢いなと思った。

本日の観光は3つの世界遺産をめぐって終了。
最後に大理石工場の見学。
工場といっても加工作業を見せてくれる以外は普通にお店だ。
店員さんが大理石テーブルの下からライトを照らしつつ
「本物は光を通します。赤い石は光ります。コーラこぼしてもしみません。熱いものも大丈夫〜。」と力説。
石にライトをあてるシーンにデジャブ。
昔、タージマハールの壁の貴石にライトをあてて見せてもらったような気がする。
大理石の工芸品は確かに美しいが、テーブルを買って帰る気はない。
せいぜいコースターか小物くらいかなといちごと二人で店の奥を見ていたら。
いつのまにかパパとみるくがチェステーブルにひきよせられていた。
え?買うの?
私&いちご:「いらないって」
パパ&みるく「いやこれはきれいだって」
と男組と女組で押し問答。
結局パパが「俺のお小遣いで買うし、こういうのはインドへの投資だから」ということでミニテーブルをお買い上げ。
そのままするっと買う気でいるので、交代して値段交渉。
観光客相手には相当高値を提示してくると分かっている国で言い値で買ってどうする。
「落としても大丈夫〜」といいながら店員さんが組み立て式の足部分とチェスの駒もぶあつく梱包。
テーブル部分は確かに美しいけれど、木の足部分はいい加減なつくりなんだろうな。
ライトを中に仕込んだらきれいだろうから、日曜大工でがんばっていただきたい。

微力ながらインド経済に貢献したあとは、お昼と同じ店で夕食。
当初は列車内でお弁当の予定だったのだが
「あたたかい食事の方がいいと思いますねー」とアルンさんが気を遣って下さったのだ。
ありがたし。
無国籍料理のお店だったらしく、夜は中華。
焼きそばはいまいちだったが、チャーハンと酢豚もどきはおいしかった。
いちごは「チャーハンおいしい」とチャーハンのみおかわり。
とりあえず子ども達が食べられるものがあってよかった。

食後は駅に移動。
寝台列車に乗ってバラナシへ向かうのだ。
今回の旅で一番不安だったのがこの寝台列車
二等寝台を一等寝台に有料グレードアップしたのだが、予約がとれるかどうかがなかなか分からなかった。
一等寝台は数が少ないので予約がとれなかったらエアコンなしの二等寝台で現地の人々とゴロ寝になる。
結論から言うと無事エアコンつき一等寝台の予約は確保することができた。
そして、一等寝台は思いのほか快適であった。
まず鍵つきの個室なので荷物が安心だ。
そしてそれなりに清潔そうなシーツと枕とそこそこの毛布がついていた。
コートをはおってまるまって寝ようかと思っていたのでかなりラクになった。
二等寝台で荷物を心配しつつ、虫におびえつつ夜を過ごすことを思えば極楽。
ゆれるしうるさいし安眠はできなかったが、子ども達は早々に熟睡であった。
明日はバラナシ。
ガンジス河が楽しみだ。

おまけ
インド旅行注意点についての私見

1.スポーツドリンクの粉は必須
念のために用意したポカリスエットの粉末が大活躍。
暑さでへばったみるくにとって(そして後半では下痢で悩まされたパパにとっても)文字通り命の水となった。
2・服装は長袖長ズボン
「熱くてジーンズなどはく気になれない」という旅行記をたくさん読んでしまい
うっかり薄手コットンの七分丈パンツをはいてしまった。
暑がりの子ども達は半ズボン。
結果、足の出ている部分だけをやたらめったら虫に刺され、かなりかゆかった。
不思議なことに腕はさほど刺されず、足をねらわれる。
チノパンをはいていたパパだけが被害にあわなかった。
暑くても、いや、暑いからこそ地肌に直射日光があたらない長袖長ズボンが正解だ。