みるくのお気に入りの雑草(いちご小6・みるく小4)

最近みるくが気にいっている雑草がある。
「これで鉄砲ができるんだよ」とみるくは言う。
細い茎の部分を円筒型のつぼみの下に巻きつけてひっぱりあげるとつぼみが鉄砲のように飛んでいくのだ。
おもしろい。
オレンジの花が咲くこの雑草。
名前はなんて言うのだろう。
みるくに教えてもらってからあたりをよく見てみると、あちこちに生えている。
「うちにも欲しい」とみるくが言うので、空き地に生えていたのを抜いてきて花壇に植えてみた。
それが、4日前のこと。
今日、学校から帰ってきたみるくが「Mくんが抜いちゃった・・・」と悲しそうに言う。
どうやら向かいの家の兄弟が鉄砲遊びをしたかったからか、もしくは雑草と思ったからか、勝手に抜いてしまったらしい。
みるくが植えたその草はアスファルトの上に投げ捨てられていた。
あーあ。
いくら雑草でも人の家の花壇から勝手に抜くのはどうなのよ。
・・・と内心では思いつつも、みるくには「また植えればいいよ」と笑顔で言う私。
言葉通り、再度とってきて植え直す。
悲しそうなみるくと対照的に怒り心頭だったのがいちごさん。
「せっかくみるくががんばって手で掘って植えたのに」とご立腹だ。
今度は抜かれないようにカードをつけることにしたところ「いちごが書く!」と言う。
『勝手に抜かないで下さい』と書いてもらおうかと思っていたのだが、いちごが書いたのは『とったらどろぼう!』の文字。
強烈だ。
いちごの怒りがストレートに伝わってくる。
姉弟愛だね。
もう少しやわらかい表現がいいかな〜と、いちごにやんわりと伝えたらいちごは『とったらどろぼう』の上に『とらないで』と書き加え、泥棒の絵を描いた。
カードをラミネートしてリボンで花にかけてできあがり。
さすがにこれでもうとられることはないだろう。

後日談
翌朝、カードを見て反省したのかどこかから抜いてきた同じ草が花壇の前に黙って置いてあった。
一応意を汲んで植えておいたが、どうせなら一言あやまりにくればいいのになあ。