ブタと言われて泣くみるく(いちご小5・みるく小3)

みるくが学校から帰ってくるなり泣き出した。
部屋のすみにうずくまって泣いている。
事情を聞いてもなかなか言おうとしなかったのだが、しばらくしてようやく口を開いた。
お友達に「ブタ」とからかわれるのがつらいという。
事のはじまりは運動会。
鶏小屋が近くにあったせいか、少しへんなにおいがした。
Tくんがそのにおいを「みるくのせいだ。みるくがブタだからだ。」と言い出したという。
その日からTくんは頻繁にみるくのことを「ブタのくせに」などとからかうようになったのだそうな。
今日は下校時に数人で歩いているところをTくんとMくんに「ブタの影ふみしようぜ」とついてこられ、それがイヤだったらしい。
やめてと言ったこともあるけれど聞いてくれないというのがみるくの言い分だ。
ふむ。
みるくが太っているのを揶揄してブタと言っているのなら、
身体的なことをからかわれているわけだから気の毒だ。
気の毒だが。
とりあえず戦ってこい。
「やめて」と言って聞いてもらえないなら、言い返せ。
「そんなひどいこと言うのやだ」とみるくは言う。
悪口は言いたくないという心優しさは美徳ではあるが、つけこまれるところでもある。
いちごを交えて三人で家族会議をし、対策をいくつか提案してみたが、みるくはどれもこれも「できない」という。
それを聞いていたいちごが「えー。なんで。いちごは普通にできるけどな。言われても気にしないし、言い返せるよ。」とサラリと言う。
お。
いちごがいつのまにか強くなっている。
いじめを乗り越えてきた成果かな。
とりあえず「やめてと強く言ってみる」というセンでみるくが同意。
よし。がんばれ。
この程度の意地悪なら経験値を高める良いチャンスだ。
一歩一歩のりこえて、強くなっておくれ。