強くなれ(いちご6歳11ヶ月・みるく5歳0ヶ月)

めずらしく連絡帳に先生からの書き込みがあった。
いちごがRくんに腕をつねられてケガをしたからだ。
ケガをしたと言ってもたいしたことはなく、蚊に刺されてかきすぎた時のような状態(薄皮がほんの少しめくれて赤くなっている状態)になっているだけではあるがその数が多い。
右腕に5カ所、左腕に5カ所の計10カ所だ。
今までは目に見える跡が残っていなかったので先生も気づいていなかったのだがさすがに今日のは目立ったらしい。
Rくんを説得していちごに謝らせたことと、これからも話し合って行きますということが書かれていた。
Rくんはいちごが嫌いでやっているわけではないだろう。
公園でいちごと一緒に遊んでいた時の彼の笑顔はとても楽しそうだったから。
でも何か伝えたいことがあるのなら別の方法をとってほしい。
いちごはいまだに「やめて」と言えないらしいしやり返すということもしない子だ。
(みるくに対してならどっちもしてるのになあ・・・)
学校がイヤになってしまうのではないかと心配する私にいちごは気にする風もなくこう言った。
「学校は楽しいよ」
そしてそのあとにこう続けた。
「でも前の学校の方が良かったなー。意地悪する子もいなかったし。」
ぐさっ。
胸に痛い。
転校せずにすめばそれが一番良かったんだけどね。
そしていちごはこうも言った。
「いちごは『やめて』って言うの忘れちゃうの」
「やり返すなんてことはしたくないし」
やり返すなんてしたくない、という気持ちは立派だけど、『やめて』が言えないのはどうしてなの〜。
最初はちょっとしたことからはじまったのに最近は目のあたりをげんこつでなぐられたり、今日のようにちょっとしたケガをしたりとエスカレートしてきているのが気になる。
一応連絡帳にはこれまでの経緯を書いたが、これからも仲良く遊べるよう良い方向に進んで欲しい旨を記入した。
Rくんはどうして暴力をふるってしまうのかな〜。いちごはどうして「やめて」って言えないのかな〜。とつらつら考えていたらRくんのママから電話がきた。
先生からの手紙を見て驚き謝罪の電話をかけてきてくださったのだ。
その電話でRくんのパパが一年前から病気で入院しており、職場復帰もかなわないことを知った。
そのせいでRくんもママも精神的に不安定になっていることも分かった。
いろいろな家庭があってそれぞれにいろいろな事情を抱えているのだということを実感。
いちごよ。
基本的には自分の身は自分で守るしかないのだ。
強くなっておくれ。