いちごの3年間(いちご6歳5ヶ月・みるく4歳5ヶ月)

思いおこせば3年前の春。
入学式の朝、いちごは口をへの字にまげてぽろぽろと涙をこぼしていた。
みるくが生まれてママを独り占めできなくなったうえにママと離れて一人で幼稚園に通わなければならないという状況は3歳児にとってかなりつらいものであったにちがいない。
その翌日からはじまったバス通園。
こわくて不安で、でも一言も泣き言を言わずに通園バスに乗っていったいちごは立派であった。
バスに乗る時に嫌がって泣くことは一度もなかったが最初の2日間は帰ってきたいちごの頬に涙の跡がくっきりと残っていた。
きっと幼稚園についてから泣いてしまったりしたのだろう。
てきぱきと物事をこなすタイプではなかったので集団生活についていけるかどうか心配もしたがいちごはいちごなりに幼稚園生活を楽しんでいたようだ。
園での様子が知りたくてよく「今日はどんなことをしたの?」と聞いてみたが帰ってくる返事はいつも「わかんない」か「忘れちゃった」であった。
おかげで園での生活がどんなものなのか全くうかがい知ることはできなかった。
年中になった時。
あさちゃん(仮名)という大親友ができたいちごはそれはそれは毎日楽しそうであった。
課外活動で絵画をはじめ、絵を描く楽しさに目覚めたいちごは毎週ステキな作品を誇らしげに見せてくれた。
園ではまっていた遊びはだんごづくりとさら砂遊び。
「今日はどんなことをしたの?」という私の問いに対する答えはあいかわらず「うーん。わすれちゃった。」であった。
年長さんの時。
引越して新しい環境の中、不安もいっぱいあったはずなのに一言も弱音をはくことはなかった。
すぐにお友達もたくさんできた。
さすがに年長になると「今日はどんなことをしたの?」と聞くと「今日は先生が絵本を読んでくれた」など具体的な返事がかえってくるようになった。
でも答えてくれるのはだいたい3回に1回くらいで残りの2回はあいかわらず「んー。忘れちゃった。」であった。
この一年は一緒に登園するみるくの面倒もよくみてくれた。
3年間よくがんばったね。
今日のいちごは本当に立派だったよ。
かっこよかったよ。
卒園、おめでとう。