思い出したこと(いちご6歳2ヶ月・みるく4歳2ヶ月)

実家の母からダンボール箱が届いた。
中には米5キロとりんご6個と毛皮のハーフコート。
とりあわせの妙はともかく。
きつくて着られなくなったという母のコートをありがたく譲り受けたのだ。
分不相応だよな〜と思いつつ袖を通してみると。
あら、ステキ。
ハーフなだけに意外と嫌味ではなかった。
大切に着させていただきます。
ありがとうございました。
ところでコートをはおった瞬間に忘れていた小学生時代のことを思い出した。
その日、担任の先生が紙を配りながら「欲しいものを5つ書きなさい」と言った。
私が紙に書き込んだのはただひとつ。
『翼がほしい(空を飛んでみたい)』
これだけだった。
私はよくいえば夢見がちな悪くいえば空想癖のある少女だった。
(とはいっても本気で翼が手に入ると思っていたわけではない)
私が提出した用紙を見て先生はこう言った。
「君、かわったことを書くね。あと4つ何か欲しいものを書きなさい。」
そうか。私ってかわっているのか。
その当時の私は少し傷ついた。
ほかのひとは空を飛んでみたいなんて思わないのかな。
欲しいものが特に思い浮かばなかった私は困惑した。
どうしよう。
何を書けばいいんだろう。
今欲しいものなんて特にないんだけど・・・
で。
困った私は欲しかったわけでもないのにとりあえず高級そうで女の子が欲しがりそうなものを書き込んだ。
『毛皮のコート・宝石』
なんかちがうよな。なんかいやだなあ。・・・と思いつつ。
大人になった今。
このできごとをふりかえると。
先生、そりゃないよ、といまさらながら思う。
欲しいものが思い浮かばない子に無理矢理書かせることはないだろう、と。
そして空を飛んでみたいという子供なりの夢を否定することもないだろう、と。
(彼は否定したわけではないかもしれないが私にはそう感じられた)
私は基本的に記憶力がとても悪く子供時代のことをほとんど覚えていないのだが時々ふとこんなふうに記憶がよみがえることがある。
そしてその記憶はあまり良いものではないことが多い。
でもそれは子育てをしている今の私にとってとても大切な意味を持っている。
子供側の思いを理解する助けになるからだ。
いちごとみるくの言葉にきちんと耳を傾け、彼らが言ったことだけではなく言おうとしたことを理解できるようになりたい。
そう、思った。