いちごの家出(いちご大1・みるく高2)

食卓の上に置いてある書き置きに気づいたのはお昼過ぎのこと。
それはいちごのストライキ宣言だった。
要求はふたつ。
留学したくないということと、英語塾をやめたいということだった。
「塾をやめていいと言ってくれるまで家には帰りません」と書いてある。
友達の家にでも泊まる予定なのだろうか。
いちごが留学する意思がないのは気づいていたので夏前には留学計画自体をほぼ断念し、振り袖のレンタルも申し込んだ。
留学しないのは構わないが、どんな職を選ぶにしても英語力はあった方が良いので塾をやめる件に関しては却下だ。
すでに一年分の授業料を払い込んであるし。
LINEでこちら側の回答を伝え、とりあえず台風がくる前に帰宅するよう促すも返答はなし。
どこに泊まるつもりなのかだけでも連絡するよう伝えるもやはり返事はない。
24時を過ぎ、さすがに近くを探して見るべきだろうかと思った頃、パパの説得に応じたのかいちごが静かに帰宅した。
帰ってきたのなら一安心。
話し合いは明日にして今夜はそっとしておこう。